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50歳のリスキリングーユカとカズの往復書簡(最終回)手紙が止まったのは、新しい挑戦が前に進み始めたから

2026年02月17日

はじめに

 本連載は、50歳を目前にキャリア転換に挑んだユカさんと、先輩カズさんとの往復書簡として始まりました。当初は「全10回」を予定していました。

 しかし、今回で一区切りとします。理由は、ユカさんの業務が想像以上に広がり、手紙を書く時間を確保することが難しくなったからです。新しい仕事で多くの挑戦をしている。そして忙しくなって手紙を書く時間も惜しい。そういうことです。

【カズさんから、ユカさんへ】

ユカさんへ。

 最近は、以前のように落ち着いて手紙を書く時間が取れないと聞きました。新しい仕事も忙しくなって、外部パートナーとの打ち合わせや、システム開発の仕事も増え、色々な仕事の機会が増えているとか。それは、とても良い兆しです。

 最初の手紙では、「自分は足を引っ張っていないか」という不安がにじんでいました。専門用語に追いつけず、会議で発言するたびに反省会をしていた。

 しかし今は、「現場ではどう受け止められるか」「社員はどこでつまずくか」と、自分なりの問いを持ち、議論に参加している。忙しさは、あなたが「戦力」として数えられている証拠だと思います。

 最初、10回続ける予定だった往復書簡を、予定より早く終わることにしましょう。けれど、これは終了ではなく、始まりです。リスキリングしたことが実践につながってきたということなのですから。

 「リスキリングする」と言っているうちは、まだ戦力にはなっていません。語る余裕がなくなるほど現場に入り込んだとき、それは実践のフェーズに入ったということです。

 あなたはいま、まさにそこにいるのだと思います。

 50歳からの挑戦は、若い頃のような勢いでは進みません。だからこそ、経験という土台が効いてくる。会計や総務で積み重ねた「人の動き」への感覚が、デジタル施策の成否を左右すると思います。

 技術は外から持ってこられます。

 しかし、組織の空気を読む力は、内部で働いてきた人にしかありません。あなたの役割は、デジタルを語ることではなく、デジタルを根づかせることです。

 手紙はここで一区切りにします。けれど、挑戦は続きます。これからは周囲の人に聞いて、自分で決めて歩いていくことができると思います。それが「リスキリング」の最終形です。

ーカズ

◇結び

 全10回を予定して始まった本連載は、5回で筆を置きます。ユカさんの挑戦が現場の実践へと移った結果です。

 リスキリングは、きれいなカリキュラム通りに進むものではありません。学びと仕事が絡み合い、予定は変わり、余裕は消えます。けれど、その混沌の中でこそ、本当の変化が起きます。

 50歳からの挑戦に、完成形はありません。あるのは、問いを持ち続ける姿勢だけです。

 この往復書簡はここで終わりますが、ユカさんの歩みは続きます。そして同じように学び直しに向き合う人たちの物語も、それぞれの現場で進んでいきます。

 その一つひとつを、静かに、しかし確かに応援し続けたいと思います。

(住友生命保険相互会社 エグゼクティブ・フェロー デジタル共創オフィサー デジタル&データ本部 事務局長)

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