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め・て・みみ ~ITC AgenTs JAPAN、代理店の進化と競争戦略

2026年03月03日
【ニュース】

 2月25、26日の両日にわたり、東京、虎ノ門の虎ノ門ヒルズ森タワー5階の虎ノ門ヒルズフォーラムで、保険の未来を共に描く保険流通とイノベーションのこれからにフォーカスしたITC JAPAN2026のカンファレンスが、Hokan Group主催で開催された。

 ITCはInsureTech Connectの略で、2016年米国ラスベガスで初開催されて以来、保険業界におけるイノベーションと変革のための世界最大のイベントで、多くの保険業界の人々が集結し、情報交流、出会いの場ともなっているほか、日本でも開催されてきている。

 25日は「ITC AgenTs Japan」、代理店領域に特化した初開催のイベントだ。保険流通の担い手の代理店、保険会社、デジタルプラットフォーム、サービスプロバイダー向けのイベントで「代理店の進化が、保険業界を変える」をテーマとしたものだ。600人収容のカンファレンス会場は満員になったほか、代理店向けの内外企業の30ほどのブースも設けられた。

 なお、26日のITC JAPANは、保険会社やデジタルプラットホームを中心にした保険業界のイノベーションに焦点を当て、顧客体験(CX)を超えたAIエージェント体験(AX)、レガシーマイグレーション(レガシーシステムの呪縛をAIで解き放ち新たな基幹システムとしてクラウドシステムへの移管・転換を図る)等をキーワードとしたセッションが行われた。

 本稿では実際に終日全セッションを傍聴した代理店領域を中心とした25日のイベントを取り上げてみた。(なお、必ずしもすべてのセッションを取り上げていないこと、印象深かったこと中心の取り上げ方であることを最初にお断りしておく)。

 午前の基調講演は「改正保険業法と保険代理店への期待」と題して白藤文祐金融庁監督局保険課保険代理店監督企画室長から、代理店へのルール厳格化など業法改正のポイント、自然災害対策などの課題、代理店への期待等につき講演があった後、「社会構造の変化と保険業界が果たすべき役割―変化に挑む保険業界」というテーマで白藤氏と柳瀬慶応大学商学部教授をパネラーに、Hokanパブリック・アフェアーズ室長兼コンプライアンス室長の中村譲弁護士の司会でパネルディスカッションがあった。企業市場のリスクマネジメントの高度化は保険業界のみならず、顧客企業側のリスクリテラシーの向上が問われるとし、なかでも代理店に対しては今後リスクマネジメントの視点からとりわけ、地域や中小企業に対する「リスクセンサー」の役割への期待(柳瀬氏)が出された。中小企業に対する高度なリスク管理支援なども今後の代理店の収益源となるのでは、との視点も出された。

 また自然災害や今後の巨大リスク対策として、国内市場のキャパシティ不足への対応や、中小企業等でBCP対策の立ち遅れと思い切った対策の必要なども提起された。

 午前の基調講演を受けてのセッションでは、AIは仕事を奪うのではなく、顧客接点強化など人が価値ある仕事に向かうための業務効率化、事務軽減、業務の可視化、品質向上に資するものだという観点から、様々な現場での実践事例が紹介された。

 例えば、「感覚経営から脱却する仕組み×ホスピタリティ×DX」というテーマで、保険見直し本舗ではAIを活用したロジカル経営の実践事例紹介として、店舗にAIカメラを設置し、接客対応につき来店の顧客が近づいた瞬間にスタッフが目線を上げたかLOOKUPを数値化してホスピタリティの可視化に活用している事例などが紹介された。

 このほか「デジタル時代の顧客体験価値とは?―保険募集における人とデジタルの別ベストミックスを考える」(東京海上ホールディングスデジタル戦略部デジタルマーケティンググループ)、「リスクマネジメント2.0ーAIが導く量から質への大転換」のテーマで代理店業務を「代理」するAIスタートアップのダイリ―「dairii」による保険代理店の電話照会業務等を24時間365日サポート(АIオペレーターが、受電・案内・録音自動文字起こし/要約までワンストップ自動化)サービスの紹介、これが代理店業務効率化につながり、さらに自社のガバナンス向上と顧客のサービス品質の取り組みがリスクマネジメント2.0となる、とした。

 午後の基調講演では「保険業界の競争戦略を考える」と題して楠木建氏(経営学者・一橋大学PDS寄付講座・シグマクシス寄付講座特任教授)が講演した後、「新時代の保険流通の競争戦略」として、楠氏を交えたパネルデスカッションがあった。楠木氏は、保険料や給付金の多寡といった物差しのあるシーンでの競争の限界と陳腐化に触れ、真の戦略は比較できない「違い」を作ることとし、「何をしないか」「誰に嫌われるか」を決めるという独自の論理の必要性を説いた。生成AIはスキルに長け、八方美人的な判断を下すことに陥るが、これからの経営者に求められるのは、他との違いを見出す能力、センス、すなわち競争戦略的視点だとした。

 午後のセッションでは、ネオファースト生命のDX化への取り組みの道のりやアグレックス、アフラック生命などのセッションがあった後、「地域の繁盛保険代理店の競争戦略」と題して永野氏(ライフステージ)、伊藤氏(伊藤保険)、小飯塚氏(ほけんショップパートナー)の3氏によるパネルディスカッションで、それぞれ、介護福祉事務所、地域の相続対策、建設・建築業に特化した独自の事業戦略、その着眼点や、独自の戦略についての現場実践事例が紹介された。

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