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め・て・みみ ~企業市場健全化に共同保険引受スタンス転換
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2026年03月24日
【ニュース】
企業保険市場における健全競争化への条件整備が進む。これには保険を提供してきた損保業界の構造的な体質転換(商慣行の変更)が問われているが、一方で顧客の企業側(特に大企業)も、過度の保険会社依存を改め、自ら保険を含めたリスク管理力の向上やリスクマインドのアップなど、リスクマネジメントの高度化も求められている。すなわち損保も企業ユーザーも共に問題解決に当たらなければならない局面に直面している。 とりわけ企業市場では、甚大な自然災害リスクやサイバーリスクなどへの対応を図るために企業側もキャパシティー不足、ないしキャパシティーギャップ(補償の空白状況)への対応が急がれており、これに対応する適切な保険・再保険の活用を含め、多様なリスクヘッジ手段(例えば自家保険、キャプティブなど)が検討できるような、リスク管理体制が求められている。 こうした中で、企業火災の共同保険の保険料調整という不祥事に端を発した保険料のカルテル体質からの転換による健全競争市場化に向け、大手損保4社は業務改善計画を策定するとともに、アンダーライティング面の適正化を図るため、企業保険市場における引受姿勢の転換を図りつつある。工場の火災保険など企業向けの保険で大型案件を引き受ける際の共同保険で、横並びをやめ、各損保ごとに料率を変えることで、健全な市場づくりをスタートさせている。 従来の共同保険は見積もりの際に一番低い保険料率を示した損保が幹事となることが多く、他社も条件を合わせる独特の商慣行(売上高・シェアを重視し、利益が出なくても他社に合わせて対応)をとってきたが、これがカルテルに当たるとされたことで、この商慣習からの脱却が求められていたことに対応したもので、2026年3月期から一部の契約で見直し、収益性志向に徹し、損保各社の採算に合う条件で契約する方式にしたものだ。 これにより損保ごとに保険料率が変わるため、顧客に有利な条件を提示する損保の優位性が増す。いわゆるガチンコの価格競争環境の到来となることで、各社の収益の差が広がり、シェア変動は必至となる。 このように損保大手各社が本来のアンダーライティングを基本とした原点に立ち返っての商品開発や独自の収益を考えた引受姿勢に転じたことは、これまであまりに低い料率のため共同保険への参加を見送る損保が出たり、企業が必要とする必要補償額が確保できなかったケースもあった。 このため、企業側にとってもキャパシティ不足解消のため、必要補償額につき、これからは損保個社単位で保険料率を設定できるため大規模災害のリスクを共同保険でカバーしやすくなるという効果も期待される。企業側にとっては損保会社ごとの保険料率が妥当か自社で見極める力が必要になるとともに、保険で手当てできないリスクについて、リスク代替手段の活用など多様な選択肢の検討などを可能とする企業内に専門のリスクマネージャーを養成するなどリスク管理体制を構築するなどして適切なリスク管理力、保険管理力を養うことが問われる時代の到来となった。 (中) |
