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【め・て・みみ】生成AIを活用し代理店のDX化をどう進めるか
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2024年07月30日
顧客サービスや業務品質の向上、代理店業務プロセスの効率化や生産性向上の観点から、保険代理店のデジタルトランスフォーメーション(DX、デジタルを活用した新たな価値創造)が注目されている。すでに各地の意欲的な代理店においては、更改・更新業務の標準化、効率化にRPA(ロボット化・自動化・システム化)の導入の動きも出てきており、これら代理店間でのユーザー同士の生産性向上や情報交換などの交流事例も出てきている。またグループウエアを活用した代理店メンバー間の情報共有や顧客対応面での各種ノウハウ共有、LINEを活用した代理店メンバー間のコミュニケーションの円滑化なども図られつつある。 保険代理店の業務は、人で成り立つ産業ともいわれ顧客接点(タッチポイント)での対応が極めて重要となる。顧客を直接訪問しフェイス・ツー・フェイスでの取引の重要性がこれまで言われ続けたが、コロナを契機に、直接の接触が困難になったこともあり、改めて非接触・遠隔からの電話やオンラインによるタッチポイントのあり方が注目されるところとなった。中でも、全体の契約の9割近くを更改・更新業務が占める損保営業では、これをいかに効率的かつ効果的に進めるかは戦略的にもポイントになってきている。 去る6月22日に横浜みなとみらいのパシフィコ横浜国立大ホールで開催された、第25回RINGの会オープンセミナーは「改進ーヒト×デジタルで保険の未来を創る」というテーマだったが、これからの躍進のキーワードはデジタルとヒトの融合にある、ということが強烈に提起された。 なかでも「生成AIが代理店の未来を切り開く―新たな業務スキームで改進する」というデジタルのセッションでは、デジタル技術、ニューテクノロジー、中でも進化著しい生成AIを活用し保険ビジネスはどのような変貌を遂げるか、また代理店のビジネスの在り方はどのように進化していくのか、その際の個人情報保護や著作権などの留意点などにつき、この分野で活躍するデジタルや法律の専門家からの問題提起があり興味深いものとなった。 冒頭、対応履歴に生成AIを実際に使って生産性を大きく向上させた岐阜瑞浪市の代理店(dii、永井伸一郎氏https://dii-web.com/)の実例が、紹介されて大きな関心を集めた。 更改・更新業務における電話によるオフィス担当者(事務スタッフ)の業務プロセスにおいて、顧客との会話内容を、担当者が都度PCキーボード入力しないで、AI搭載のボイスレコーダー(PLAUD NOTE AI ボイスレコーダー GPT-4o連携)を用いることで、そのまま音声入力するだけ、後は、生成AIが文字起こし、要約作成等を担うことで、入力作業が大幅に効率化でき、またその内容を担当者が微修正し、スクリプト化する事で次回に役立てていくというものだ。もちろん要約する場合、個人が特定されるようなケースは外すなど、きちんとしたルール化が不可欠だ。 情報共有のグループウエア(例えばサイボウズ)につないで活用することで、電話口での顧客との対応の際のスキルアップにもつなげることが可能となっている。生成AIツールの活用でオフィス担当者の事務作業の軽減化、余裕の創出にもつなげオフィス業務の高度化にも繋げられているという。 このように、プロ代理店でも、活用可能な生成AIを搭載したツールを活用することで、業務プロセス革新が図れるのである。 これからの代理店事業を展望すると、これまで育んできた地域における代理店の信用力、いざという時の頼りになる存在感、顧客も実に多様で、その求めるところも様々だ。ただ、いざという時に、近くにいて何でも相談できる、地域の人脈、情報脈、社会的なソリューション(問題解決)を提供してくれるハブ的・コンシェルジュ的存在の代理店は貴重だ。保険会社もようやくその優位な信用の価値に気づきだした。 損保大手が進める広域代理店網を活用してのプラットホーム構築によるビジネスマッチング事業、社会的ソリューション提供サービス事業も緒に就いたばかりだが、こうした顧客サービス価値創造の新たな動きは、保険・補償の前後の予防・防災などのリスクコントロールビジネスや事後のアフターフォローのケアビジネスの強化に、代理店の役割がいかに貴重なものか、を物語る。 こうした分野でも、デジタル化・DX・生成AI活用は必須になっている。先のリングの会のオープンセミナーのヒトのセッションでは、能登半島地の地元被災現場・地域コミュニティで奮闘する代理店(珠洲市、重政保険事務所https://shigemasahoken.com/)に登壇願い、災害時の地域コミュニティにおける代理店の役割にフォーカスしながら、改めて人介在型ビジネスモデルがなぜ必要なのか、また現場ではデジタルはどのように活用されるのか、被災した珠洲市の本社と金沢支部の2店体制がたまたま活きたが、改めて問われた地域密着代理店におけるBCP対策につき課題整理するとともに、災害時でも助け合い励まし合える代理店間の緩やかなネットワーク構築の重要性、人とデジタルとの融合という観点に立って改めて今後の代理店の在り方、存在価値を改めて考えるきっかけになったのではないか。 (中) |
