ゲストさん   
 
【inswatch記事カテゴリ】
inswatch新着記事 一覧はこちら

お客様に寄り添うための、認知症の基本知識(1)

2025年06月24日
【プロの視点】

<はじめに>

 この連載では、認知症を遠ざけるために、わかりやすく・すぐに実践できる習慣や知識をお伝えします。日常の中で「ちょっと誰かに話してみたくなる」ような、役立つ情報や気づきを、丁寧にお届けします。

 「認知症になるリスクはすべての人にある! 認知症を遠ざけるためには」

 最近では、「なりたくない病気」ランキングで、認知症が癌を上回るようになっています。

 しかし、認知症は誰にとっても無関係な話ではありません。人間の老化に深く関わる病気であり、誰もが将来的にそのリスクと向き合うことになるのです。

 実際、75歳~79歳では約6人に1人、85歳~90歳では約2人に1人が認知症というデータもあります(平成26年度厚生労働科学研究より)。

 つまり、""「寿命が先か、認知症が先か」""というほど、高齢期には身近なものなのです。

 とはいえ、90歳を過ぎてもなお元気で聡明な方もいらっしゃいます。この違いはどこから生まれるのでしょうか? 

 多くの研究から、認知症は「生活習慣」によって大きく左右されることがわかってきました。

 脳に良い習慣を積み重ねることで、発症を遅らせたり、進行を緩やかにしたりすることができるのです。では、どんな生活が脳に良いのでしょうか?

 東北大学加齢医学研究所が提唱する「スマートエイジング」(加齢を前向きに捉え、心身の健康を保ちながら自分らしく生きる考え方)から、5つの視点をご紹介します。

【運動】

 毎日20分の有酸素運動を心がけましょう。最も手軽なのはウォーキングです。

 会社の最寄り駅の一つ手前で降りて歩く、買い物ついでに遠回りするなど、1日8000歩を目標に。そのうち20分は息が少し上がる程度の速歩きが理想です。

 なお、気温や湿度の高い日は熱中症のリスクがあります。こまめな水分補給や時間帯の工夫など、十分注意して行いましょう。

【栄養】

 バランスの良い食事を意識しましょう。

 昭和50年代の「一汁三菜」の和食が、脳に良いとされています。塩分や脂質を控えつつ、旬の野菜や魚を取り入れる食事を心がけましょう。

 特に、青魚に含まれるDHAやEPAは、神経細胞の働きを助け、炎症を抑える効果があるといわれています。緑黄色野菜やナッツ類、発酵食品も、脳の老化予防に役立ちます。逆に、過剰な糖分や加工食品の摂りすぎは、脳のパフォーマンスを低下させる可能性があります。何を食べるかは、脳への投資と考え、毎日の食事を大切にしましょう。

【認知刺激】

 脳は「少し難しいこと」「新しいこと」に反応します。

 同じ毎日では刺激が減り、機能が落ちてしまうのです。たとえば、読書や新聞を読むこと、クロスワードや脳トレ、囲碁・将棋などの頭を使う遊び、楽器演奏や手芸、語学などの新しい趣味への挑戦は、非常に効果的です。大切なのは、いつもと少し違うことにチャレンジすること。

 使わない機能は衰えていきますが、意識的に使い続けることで、脳は何歳からでも鍛えられます。

【睡眠】

 良質な睡眠は、脳の老廃物を排出するために欠かせない大切な時間です。

 これらの老廃物は、眠っている間に脳から排出されることが分かっており、睡眠の質が悪いと十分に排出されません。

 夜しっかりと眠るためには、朝の光を浴びて体内時計をリセットすること、そして日中にしっかりと体を動かすことが効果的です。

 日中の活動量が増えるほど、自然な眠気も生まれやすくなります。

【コミュニケーション】

 人との交流も、脳の健康を保つうえで欠かせません。

 会話や雑談を通して、脳はさまざまな刺激を受け、活性化されます。

 近所の人とあいさつを交わす、友人に電話をかける、趣味の会に参加するなど、できるだけ人と接する機会を意識的に持つことが大切です。

*注意したい生活習慣

 反対に、運動不足や睡眠不足、人とのつながりの欠如、過度な飲酒や喫煙などは、認知症リスクを高める生活習慣です。

 こうした習慣が続くことで、脳の働きにも少しずつ影響が現れます。

 日々の小さな選択や行動の積み重ねが、脳の未来をつくっていくのです。

 脳は年齢に関係なく、鍛えることで機能が保たれる臓器です。

 脳に良い生活を少しずつ取り入れることが、認知症を遠ざけ、人生の質を高める第一歩になります。

 大切なのは、「今」から行動すること。

未来の自分のために、そして大切な人のために、今日からできることを始めてみませんか。

 次回は、「脳の機能は、20歳をピークに直線的に下降、70歳からさらに下降」をお届けします。


<脳の豆知識>「物忘れ」と「認知症」の違いは?

 加齢からくる物忘れと、認知症による記憶障害には違いがあります。

 たとえば、

・朝食に何を食べたか思い出せないのは、加齢による物忘れ。

・朝食を食べたこと自体を忘れている場合は、認知症の可能性があります。

 また、

・買う予定のものを忘れてしまうのは物忘れ。

・そもそも買い物に行ったこと自体を覚えていないのは、認知症による記憶障害です。

 このように、「体験そのものを忘れているかどうか」が大きな違いになります。


 (株式会社NeUブレインフィットネスユニットマネジャー、認知症予防専門士(日本認知症予防学会))

*脳の健康をサポートする「クラウド型 脳トレ」を保険アプリに。今なら体験キャンペーン実施中!https://neu-brains.co.jp/information/press/2025/06/06/4301.html

*株式会社NeU https://neu-brains.co.jp/

*ブレインフィットネス https://neu-brains.co.jp/solution/brainfitness/

Copyright© 有限会社インスウオッチ,All rights reserved.