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AIエージェント時代の消費者と保険会社(4) バックオフィス革命“同僚を買う”時代に!?人材不足が救われる企画・人事・総務のミライ
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2025年08月05日
【DX】
生成AIが身近になった今、いたるところで「AIエージェント」という言葉を耳にすることが増えました。一方で、AIエージェントによって私たちの生活や仕事が具体的にどう変わるのかはまだ見えにくく、戸惑う人が多くいると思います。本連載では、そういったモヤモヤを5回にわたって考えていきたいと思います。 第1回は、AIエージェントが「保険会社」と「お客さま」の関係をどう変えていくのかの全貌について考えました。第2回は、具体的な保険販売がAIエージェントによりどのように変わるのか、第3回では、保険契約の始まりから終わりまでの一連の流れにおいて、顧客対応が具体的にどのように進化するのかについて見てきました。 第4回目となる今回は、これまで触れる機会の少なかったバックオフィスに焦点を当てます。企画・人事・総務・情報システムなどに加え、私が日々行っている秘書業務を例に取り、AIエージェントがあなたたちの“同僚”としてどのように配属され、人材不足を救い、仕事のあり方を変えていくのかを見ていきたいと思います。 ◇AIエージェントが“買える同僚”になる!!? AIエージェントが買えるとはどういうことなんでしょうか。ここまでAIエージェントは、大量のデータを取り込み「役割を持ち、記憶して、計画を立て、実行する」と定義してきました。AIエージェントと人を分けて考えるより、AIエージェント=人として考えることで、どういった場面で適用できるのか、イメージがしやすくなってきます。会社規模を大きくするから経理が得意な人を採用したい、従業員が増えるから人事の担当を採用したい、これまでの人を採用することと同じように、AIエージェントを買う未来が必ずきます。活躍させたい場面や用途ごとに適したAIエージェントを買い、自社のルールやデータでカスタマイズ(入社時の研修と同じですね)する。今は、転職エージェントや転職サイトに広告を掲載することで採用をしていますが、ここにAIエージェントによって”同僚を買ってくる”選択肢も加わります。 1つの超優秀なAIエージェントがいればいいのではないか?と思われますが、部門によってもスタンスは違いますよね。例えば会社の広報活動をする際に、広報部であれば前向きに発信を検討しますが、一方でコンプラ部であれば、今回の発信内容に問題はないのか、風評被害リスクはないのかなど、それぞれ役割が異なりますので当然考え方も違います。両者とも会社のことを考えた上での検討ですので、それぞれの立場からの意見で議論することが肝要です。それが、1つのAIエージェントだけになってしまうと、AIエージェントの学び方によって、意見や考え方にバイアスが生まれる可能性が高まり危険です。 では、どのようにAIエージェントを購入するのでしょうか。エージェント・マーケットプレイスには、会計エージェント、法務エージェント、HRエージェント、秘書エージェントなど用途別のAIエージェントが並びます。会社は人材採用と同じ感覚で要件を満たす、AIエージェントを選び、会社にオンボーディング(社内用語や承認ルートの学習、アクセス権付与)します。役割と権限を明確にし、業務に必要なマニュアルなどを学習させることで、その会社・その部門専用のAIエージェントにすることができます。まさに新人を迎えることと同じプロセスと同じですね。 *イメージ図:AIエージェント・マーケットプレイス(Created by ChatGPT-4o)https://bit.ly/45xkqIy ◇私の秘書業務をAIエージェント化していきましょう 私は普段、役員秘書を担当しております。毎日、メールや電話が数十通舞い込み、内容確認、担当役員の日程の確認、スケジュールの仮押さえ、メール連絡、資料作成、当日のアテンド、ファシリテーション、ネクストアクション整理、議事録作成……と多岐にわたります。このどれもがAIエージェントで対応可能です。 上記のタスクの中から2つ例として取り上げてみましょう。 ・メールエージェント:過去のメールのやり取り経緯で学習させたエージェントがメールの重要度を自動判定し、返信案を下書き。私は最終的な文面の調整だけ行い、問題なければエージェントから返信してもらいます。エージェントが作るメール文面案に指摘がなくなってきたら、任せてしまってもいいでしょう。 ・スケジュールエージェント:メールエージェントと情報連携を行い、カレンダーを見て候補を提示し、関係者の自動で仮押さえ連絡。私はVIP対応などに専念します。 段取りはAI、気配りと判断は人。秘書の仕事は、人にしかできない部分に注力することで“関係の質”を上げる本来の目的に時間を使えるようになります。 ◇企画・人事・総務・情報システム・経理はこう変わる 企画エージェント:ニュースや社内データを横断し、数値シミュレーションを随時更新。経営会議直前の“集計作業”から解放され、意思決定に注力できます。 人事エージェント:求人票生成、書類選考、面接日程調整をエージェントが常時運転。面談に多くの時間が割けるようになり、人物の深掘りや会社文化との適用ができるかの確認に人が注力します。 総務エージェント:入館申請、印章、備品、契約書原本の取り回しなどは全て対応。今日的なルールの検討や、職場環境の向上に多くの時間を割くことができます。 情報システムエージェント:障害検知から関係者連絡、原因推定、復旧までをエージェントが半自動化。夜間オンコールの負担が軽減され、全社のシステムの保守をより低負担で確実さを向上させます。 経理エージェント:領収証の読み取りから仕訳案作成、異常値検知、決算作業の効率化もできます。人は会計判断や説明責任に注力できます。 ◇人は不要になるのか?あらためて考える 「営業職員や保険代理店は要らなくなるのでは?」という問いを、第1回でも取り上げました。結論はやはり同じです。人は、より人にしかできない役割で必要性が増します。少子化も加速している中で、人材不足はより深刻化していきます。AIエージェントが得意な部分はどんどん任せる一方で、人にしかできない役割を早い段階で洗い出し、より磨きをかけていくことが重要です。 “判断基準を数値化できるかどうか”。数値化できる領域はAIが高速化し、数値化できない領域(不安を汲み取る、関係をつなぐ、組織の意思を形にする)は人が深く関与する。本社やバックオフィスでもこの原則は変わりません。 ◇まとめと次回予告 AIエージェントは“買える同僚”として、バックオフィスのあらゆる現場に配属できることが分かりました。採用コストも上昇する一方で人材不足も深刻化しています。そういった悩みに直面する会社や部署ほど、その効果は大きいはずです。 段取りや記録はAIへ、判断と関係構築は人へ。コスト削減だけでなく仕事の質を底上げする変革がAIエージェントから始まります。 次回第5回では、明日から実践できる導入ステップをお届けします。 (大手生命保険会社勤務) |
