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め・て・みみ~金融庁組織再編・拡充で「資産運用・保険監督局」(仮称)
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2025年09月09日
【コンプライアンス】
本誌1294号(8月25日付)本欄で「金融庁、監督局再編分離し「資産運用・保険監督局新設」へ」としてマスコミ報道等をもとに先行して紹介したところだが、金融庁は8月29日令和8年度の予算及び機構・定員要求を発表した。 令和8年度予算については総額250億円(前年度より11.9億円増、内訳は人件費197億円、物件費53億円)、主な政策的経費としては金融機能の更なる発揮と、金融システムの公正性・安全性を確保する (10.9億円)、資産運用立国を推進し、持続的な経済の成長に貢献する (8.4億円)。 機構・定員要求としては、 金融庁の組織の見直しによる体制強化を図る観点から、以下の機構・定員を要求として、定員は、合計31人の増員要求(定員合理化▲16人)⇒差引15人純増要求1) 内訳は、 1)資産運用業の発展、保険業界の監督強化、金融分野のイノベーション促進 (20人)ー資産運用・保険監督局(仮称)の設置、資産運用立国の着実な推進(統括検査官の設置等)、保険業界に対する監督体制の強化(統括検査官の設置等)、AI等の活用による金融分野のイノベーション促進(暗号資産・イノベーション課の設置等)、資金決済手段のキャッシュレス・デジタル化への対応(資金決済モニタリング課の設置等) 2)金融庁が不断に進化し続けるための体制強化 (2人)ー政策統括官(官房担当)、参事官3人(人事、総括、総合政策担当)の設置 等 3)金融機能の更なる発揮、金融システムの公正性・安全性の確保(9人)ー銀行・証券監督局(仮称)の設置、協同組織金融機関に対する監督体制の整備 (監督企画官の設置等)、サイバーセキュリティへの対応強化 等 また金融庁の組織再編・拡充については、 ○ 資産運用立国の実現、一部金融機関に関わる不祥事や不正への対応、デジタル技術を用いた金融サービス変革への対応など、金融行政の課題は山積。 〇 設立から四半世紀を迎える中、組織の再編・拡充や人材育成により、政策対応能力の強化を図る。 <現状の課題> ・資産運用業の高度化・育成や、アセットオーナーシップ改革の一体的な推進体制を強化する必要。 ・保険業界の信頼回復と健全な発展に向けた対応を強化する必要。 ・フィンテック、暗号資産取引、生成AI等の新たなデジタル技術を用いた金融サービス変革への対応能力を強化する必要。 <対応案> ・総合政策局を、資産運用・保険監督局(仮称)へと改称するとともに、関連部署・業務を移管し、新たな局へと組織再編する。 ・併せて、監督局を銀行・証券監督局(仮称)へと改称する。 ・ 加えて、官房担当の局長級の政策統括官を新設し、総合政策局の官房機能(総務課・秘書課・総合政策課)を集約。 金融庁の組織再編の中で、資産運用・保険監督局(仮称)には、総合政策局のリスク分析総括課(暗号資産・イノベ参事官室、資金決済モニタリング室、決済デジタル金融グループモニ室)、これに資産運用立国(総括)・総合政策局総合政策課・監督局資産運用課・企画市場局市課、監督局から資産運用課、保険課、郵便貯金・保険監督参事官室が移り、新たな局構成としては総務課、暗号資産・イノベーション課、資金決済モニタリング課、決済・デジタル金融グループモニ室、資産運用課、保険課、郵便貯金・保険監督参官室という構成となる。 資産運用・保険監督局は、検査やリスク分析などを担う総合政策局の一部と監督局から分割する資産運用課と保険課が統合される。 デジタル金融などを管轄する金融庁の総合政策局を改称する形で設ける。少額投資非課税制度(NISA)の拡大や金融経済教育を推進することで貯蓄から投資の流れを加速させ、国民の所得を増やす、個人の資産形成と企業の成長を目指す「資産運用立国」の実現に向け、資産運用業の部門も管轄し、デジタル金融や暗号資産も同局が担う方向だ。 損保や生保等保険業界では、保険金不正請求やカルテル問題等の不祥事や、顧客情報の大規模な漏えいや出向先の銀行からの情報持ち出しなどが相次い発覚したため、銀行や証券の監督部門から独立させ保険監督の陣容を拡大させ保険業の監督体制を強化することで、業界の信頼回復につなげるのも狙いだ。総合政策局の秘書課や総務課などの官房機能は局長級の政策総括官ポストを新設する。 一方、監督局は「銀行・証券監督局」(仮称)に改称し、銀行と証券の両業態の監督と検査を一体的に運用する体制に移行するのも大きな目的で、監督局は「銀行・証券監督局」(仮称)に改称し、保険業界を除くメガバンクや地方銀行、証券会社を集中的に監督する。金融庁は本年7月に監督局長のもとに金融機関の検査の責任者である総括審議官を置き、監督局長が検査情報を統括する組織改編をすでに行っている。足元では大手金融機関の不祥事が相次ぐほか、地方銀行など地域金融機関の再編機運が高まっており、問題の把握や制度のあり方の検討などに素早く対応できるよう体制を整えるのが狙いだ。 (中) |
