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お客様に寄り添うための、認知症の基本知識(4)今の過ごし方が将来を決める 脳によい生活をチェック

2025年09月30日
【プロの視点】

*この連載では、認知症を遠ざけるために、わかりやすく・すぐに実践できる習慣や知識をお伝えします。

 お客様との対話の中で「最近、物忘れが増えた」「仕事で集中力が続かない」といった声を耳にすることはないでしょうか。こうした認知機能の変化は、将来の健康リスクだけでなく、働き方や生活の質にも直結します。では、どのような生活習慣が脳に良い影響を与えるのでしょうか。

エビデンスが示す「生活と脳機能」の関係

 人間の脳には「使わなければ衰える」という性質があります。

 東北大学加齢医学研究所の研究では、調理や計算などの複雑な作業が認知機能を高めることが確認されています。実際、自炊の習慣を持つ高齢者は外食中心の人に比べて認知症リスクが低いと報告されています。

 一方で、テレビやスマホの長時間使用は要注意です。

 国立長寿医療研究センターの追跡調査では、テレビを1日3時間以上視聴する高齢者は、認知機能低下リスクが有意に高まることが示されています。また、子ども世代においても長時間のスマホ利用が前頭前野の発達を妨げる可能性が指摘されており、世代を問わず「ラクで便利すぎる生活」が脳にはマイナスに働きます。

◇脳によい生活をつくる「やっかいさ」と「めんどうさ」

 脳を活発に働かせるのは、実は「やっかいでめんどうなこと」です。

・調理:献立を考え、段取りし、手を動かす行為は高度な脳活動。

・移動:バスやタクシーより徒歩の方が脳を刺激。道を選ぶ、周囲に注意を払うなど複合的な脳活動が必要。

・掃除:掃除機よりも雑巾がけの方が身体を使い、段取りや動作の工夫が加わるため脳を刺激。

・会話:SNSより電話、電話より対面コミュニケーションの方が脳活動を増加させる。

 つまり、手間をかけるほど脳は鍛えられ、将来の認知症リスク低減につながります。

◇日常業務に活かせる「脳の健康チェック」

 以下の項目は、簡易的に脳に関わる生活習慣をチェックできるリストです。

 お客様や社員との対話のきっかけにご活用いただけます。

□スマホを1日2時間以上使っている

□テレビを1日3時間以上見ている

□朝食を抜くことが多い

□睡眠時間が6時間未満

□自炊せず外食・テイクアウト中心

□掃除をロボット任せにしている

□人との対面会話を避けがち

□博物館・美術館に行かない

□通勤・買い物でいつも同じ道を使う

□パズルやクイズはすぐ答えを見てしまう

□財布の中が小銭でいっぱい

□新しい人との会話を避けがち

◇チェック結果!

・チェック数が0~3個:良好な生活習慣です。実年齢通り、もしくは若い脳。

・チェック数が4~8個:生活改善の余地があります。実年齢よりもやや脳年齢が衰えている可能性あり。

・チェック数が9~12個:注意が必要です。実年齢よりも脳年齢が加齢している可能性が大。

◇担当者ができるサポート

・健康相談や契約更新の際に「生活習慣チェック」を紹介し、気づきを与える

・脳トレや健康アプリ、地域イベントへの参加を案内する

・睡眠・運動・栄養・認知刺激・コミュニケーションといった予防に関する情報を提供する

 世界的な論文誌Lancet 2024の報告では、認知症の約45%は生活習慣の改善で予防可能とされています。保険会社や企業がこうした「未病対策」の情報を届けることは、リスク低減だけでなく、お客様や社員との信頼構築にもつながります。

◇まとめ

 今の過ごし方が、将来の脳の健康を左右します。脳に良い生活習慣は、決して特別なことではなく、日常の中の「少しの手間」を楽しむことにあります。

 ぜひ、この「脳によい生活チェック」と結果判定を活用しながら、お客様や社員の未来を守る対話を広げていただければ幸いです。

 次回は、第5回「ルーチンや単調な毎日が招く脳の萎縮を防ぐには?」をお届けします。

(株式会社NeU ブレインフィットネスユニットマネジャー・認知症予防専門士) https://neu-brains.co.jp/

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