inswatch新着記事 | 一覧はこちら |
---|
【め・て・みみ】どんな代理店経営モデルを目指すのか
2024年08月06日
【ニュース】
保険業界は大きな歴史的な転機に来ている。保険業界も商慣習・取引慣行の全面的な転換点に直面しており、ルール、制度の見直し作業も今後見込まれ、顧客本位の実効性とともに、経済的に合理的な適正競争環境の整備が急速に進んでいくものと思われる。 これに伴い、保険会社の経営戦略も抜本的に見直されることになる。業界内には旧来の経営体質・業界慣行からの脱却の困難さを指摘する向きもあるが、経済合理性や社会公共性に反するものは、徹底的に排除されるとみるべきだ。このことは代理店政策においても例外ではない。 こうした中で、顧客起点の・価値創造型の代理店経営を具体化するには、要請される課題が多く、また例えば損保でいうなら従来の基幹種目の自動車や火災が厳しい収益環境の下で、顧客を守るために現場を預かる代理店が今後どのような生産性向上、活路開拓・社会的ソリューションの提供、DX活用のサービスの高度化対応をしていくのかも問われるところとなる。 これからは、保険会社と代理店の関係も、相互の役割の明確化や、保険会社による代理店への指導・教育、管理、監督等ガバナンス面での態勢整備や、それを補完する新たな機関の設立の検討やチェック面での仕組みづくりなどを通じ、より透明性の高いものとなることが求められる。 代理店にも、プロフェッショナル性を発揮し、主体的にマーケットにかかわり、自らの顧客・コミュニティのお役に立てる立ち回り方が求められてくる。そのためにも、労働集約型のビジネスモデルの転換が必要になる。 まずは、代理店の業務プロセスの見直しが大事となり、今まで当たり前の業務の流れを見直してみることが肝心になる。 代理店業務の中では、従来は顧客接点(タッチポイント)でのアナログの対面での対応を重視してきたが、電話やオンライン対応などの非対面方式を取り入れた展開など多様な顧客との接点づくりも重要になってきている。自らの生産性向上や顧客満足を達成するためにどのようなスタイルでの顧客との関係づくりをしていくかでも工夫が必要な時代を迎えている。 地域や限定分野で特化を発揮してコンパクトスタイルで展開する道もある。ただこうした自主独立で代理店経営を営む方々も情報の共有、大災害時の地域密着ゆえの限界性を克服するためのBCP広域相互連携協力態勢構築を含め、代理店間の緩やかなネットワークによる協力関係作りは欠かせない。 このような限られて経営資源で展開する小規模・独立自営の代理店経営のプロフェッショナル性を堅持するためには、生成AIを今後の代理店経営に如何に大胆に活かしていくかをはじめ、DXの有効活用事例の自主的交流マーケットの創出なども求められるところとなる。生成AI搭載のPCはじめ各種デジタルツールを取り入れた展開は大きなカギを握ることになりそうだ。 また今後、代理店が何から何まで自前で対応する経営モデルばかりでなく、自ら得意分野に集中特化する、代理店間での機能分化・そのための環境づくりも課題になってくるのではないだろうか。ガバナンス・商品・サービス管理・人材確保・教育と営業・顧客関係維持という機能に切り分けた、代理店の機能分化も活発化しそうだ。 保険会社の販社?直視モデル方式もその一つの試みだったが、代理店間の分業というスタイルも多様化してくるのではないか。例えば、流通業界にみるチェーンストア方式のように代理店間で、本部と現場で役割分担し対応する方式などもある。保険以外の広い商材を扱うには資格取得や教育、コンプライアンス対応なども必要なため、代理店個々の単体では困難なので、こうした仕組みも考慮されよう。 ただし、代理店ビジネスの根幹には、自分の顧客に対し主体的に責任を持つには独立自営でいたい、というマインドがあるだけに、米国で見られるクラスター代理店のような独立代理店のまま組合型組織化する方式は、復代理が保険業法上認められない現状では、独立代理店を放棄し、一旦社員身分・支店等の方式での対応を取らざるを得ないが、こうした方式では実質的にどこまで個々のメンバーの独自ブランドを尊重できるのかも課題だ。 保険会社が大きな経営戦略転換を図り、代理店との関係を見直す中で、保険会社における多面的な人材流出も進むことは間違いないが、今後、保険会社が直接出資し販社を作る方式ではなく、法的縛りをどうクリアするかがあるが、プロフェッショナル性を売りにした独立の代理店支援会社が提携した代理店を支援する緩やかな試みも活発化してくるのではないか。 (中) |