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【め・て・みみ】カルテル・談合で損保4社等に課徴金納付・排除処置命令
2024年11月12日
【ニュース】
公正取引委員会は、昨年6月に表面化した企業火災の共同保険を巡る保険料の事前調整問題を受け昨年8月に損保大手4社に公取委の調査を実施し、それをもとに昨年12月には同4社への立ち入り検査を実施してきたが、本年10月31日に同4社(三井住友海上、損保ジャパン、あいおいニッセイ同和、東京海上日動)並びに損保代理店の共立に対して、独占禁止法の規定に基づき排除措置命令及び課徴金納付命令を行った。内訳は、9件のカルテル・談合による独占禁止法違反(不当な取引制限)を認定し、独占禁止法の規定に基づき、合計約20億7千万円の課徴金納付命令と排除措置命令を出して発表した。 *過去の損保の公取委関連事案、関連条文、課徴金制度、調査協力減算制度 https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2024/oct/241031_shinsa_sanko.pdf *排除措置命令書 https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2024/oct/241031_shinsa_betten2.pdf 課徴金納付命令の内訳は、損保大手4社に対しそれぞれ、三井住友海上5件、8億8,514万円、損保ジャパン6件、6億4,798万円、あいおいニッセイ同和3件、5億640万円、東京海上日動1件、3,212万円となっている。排除措置命令では損保大手4社と、代理店の共立に対して出され、三井住友海上9件、損保ジャパン9件、あいおいニッセイ同和3件、東京海上日動9件、共立1件となっており、今後は他の事業者と共同して保険料を決めないことに加え、第三者による定期的な監査などを盛り込んでいる。 9件はJERA、コスモ石油、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構、シャープ、京成電鉄、警視庁、東京都が発注する都立病院、仙台国際空港、東急で、その概要は別掲資料「本件の概要」*を参照されたい。 *https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2024/oct/241031_shinsa_gaiyo.pdf 上層部の関与は認められなかったものの、担当者が前任から調整について引き継ぎを受けていたほか、役員や部長級の管理職に保険料の調整を報告していた事例も確認された。 あわせて、排除措置命令の対象となった独占禁止法違反行為の多くは、共同保険の組成過程において行われていたこと等を踏まえ、独占禁止法違反行為の未然防止の観点から、共同保険の組成・利用に関し、損保会社、損保代理店又は保険契約者において留意すべき独禁法上の考え方及び競争政策上の考え方等を取りまとめ、企業向け保険の取引に関する独禁法上の基準も公表した。 *共同保険に係る独占禁止法上の留意点等について https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2024/oct/241031_shinsa_betten1.pdf 公取委では、今回の監督官庁の金融庁と業界団体の損保協会に対して独禁法順守の周知徹底を要請した。 これに対し、当該損保4社や代理店は、再発防止策の徹底を図り、信頼回復に努めていく、などとコメントを出している。 (中) |