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【め・て・みみ】損保も企業リスクマネージャー養成に本腰

2025年02月04日
【ニュース】

 損保業界の長年にわたり培われてきた旧慣行の在り方が抜本的に問われ、2025年はまさにその意味で正念場の年となる。保険会社側の適正競争への環境整備、企業取引分野では、企業内代理店の在り方の見直しとともに顧客企業側のリスクマネジメント意識の低さ、保険コストに対する的確な態勢の欠如も問われるところとなった。中でもリスクマネジメントを経営戦略的に位置づけ、またリスクマネジメントを専門に担う人材不足が明確になった。

 こうした中で、東京海上日動は、本年3月より、企業向けの人材育成研修サービスとして「TМリスクマネジメントアカデミー」を開講すると、1月31日に発表した。同サービスは、企業内のリスクマネジメント専門家であるリスクマネージャーの養成に向けて、リスクマネジメントおよび保険ソリューションの活用にかかる体系的な知見と実務スキルを習得してもらうことを目的としたものだ。同社では今回のサービスの提供を通じて企業のリスクマネジメント態勢の高度化を支援していく、としている。

 東京海上では、今回の企業リスクマネージャー養成開設に至った背景については、自然災害の激甚化や国際情勢の変化、サイバーリスクの急激な高まり等、外部環境の変化によって企業経営における不確実性が高まっているとともに、社会、資本市場からの要請として、企業統治、リスクマネジメント態勢にかかる説明責任が一層求められる傾向にあること、 そのような環境の中で、同社は2024年度より中期経営計画のキーコンセプト「Re-New」のもと、企業のリスクマネジメントを支援することで、保険本来の価値で顧客選ばれる会社の実現に取り組んでいること、 企業経営において、高度かつ実効的なリスクマネジメント態勢を整備するためには、高い専門性を持つリスクマネージャーの存在が必要であり、欧米を中心に配置が進んでいるのに対し、日本ではリスクマネジメントに関する専門的な知見を得られる機会・環境が不足していることから、リスクマネージャーを配置している企業はまだ少なく、リスクマネージャーの養成が大きな課題となっていること、こうした課題認識を踏まえ、同社はグローバルな保険事業を通じて培った知見を基に、企業のリスクマネージャー養成を支援する研修プログラム「TМリスクマネジメントアカデミー」を開講することにした、としている。 

 「TМリスクマネジメントアカデミー」は、リスクマネージャーの養成をサポートする教育研修プログラムであり、リスクマネジメントに関わる高度な理論体系と実務スキルの双方を一気通貫で習得できる講座に加え、研修参加企業同士の情報交換、交流の場を提供する。 

 同サービスで扱うリスクマネジメントとは、経営戦略と連動する「全社的リスクマネジメント(ERM(Enterprise Risk Management)」を指す。あらゆるリスクを全社横断で管理し、各リスクを統一的な基準に基づいて評価するとともに、リスク移転の代表的な手段である保険の調達を経済合理性に基づいて最適化する実務を取り扱うものだ。 

 同サービスは、リスクマネージャーが求められる広範囲かつ高度な知見・ノウハウに対応し、主に以下の4つの特色を有している。 

 1)リスクマネージャーの業務企画・遂行に必要な知識を体系的に習得

 2)グローバル保険会社ならではの最先端の知見の提供

 3)経験豊富な企業リスクマネージャーを含む専門家との双方向な講義

 4)参加企業・受講者ネットワークの提供

 同サービスで扱うリスクマネジメントの全体像(イメージ)としては、戦略リスクと投機的リスクの識別、事業戦略の策定、経営会議・取締役会での決議、投資先の経営管理、投資効果の検証、市場リスク、与信リスク、流動性リスク等の管理、事業分野への監査、モニタリングの取りまとめ。

 このうち保険リスクマネジメントでは、自社グループ内のリスクエクスポージャーの把握・評価・分析・モニタリング、事業部門での損失回避・低減に関する活動の企画・実施遂行の補助・モニタリング、リスクの保有・移転のアロケーション(=リスクファイナンス)に関する分析、意思決定の判断、保険購買の意思決定、保険契約の保守管理、リスク管理予算の準備、事業部門のリスク回避・提言取組の周知、研修・トレーニングの企画・実施。

 対象企業・受講者としては、リスクマネジメント部門の強化を目指しており、専門ポストとしてのリスクマネージャーの配置・育成を検討している企業 や、現在リスクマネジメント部門/リスクマネージャー業務に従事されている方、またはこれから目指される方を想定。

 受講スケジュールは、2025年3月~2025年10月、2025年度以降も順次開催予定。

 カリキュラムは、リスクマネジメントに係る理論を学ぶと共に、ケーススタディやグループディスカッションなど計8回の集合型研修を設定。

 カリキュラムイメージ(現時点でのもので変更あり)としては、入門編(1、企業のリスクマネジメント原則と枠組み、2、リスクマネジメントと企業財務、3、コンプライアンス、危機管理対応、4、個別の重大なリスクへの対応)、実践編(5、企業リスクマネジメント実務、6、最適な保険調達、7、事故対応・損失低減の取組、8、国際(再)保険市場のメカニズム)となっている。

  研修費用(税込)は 1社あたり22万円(1名派遣の場合)

 (中)

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