inswatch新着記事 | 一覧はこちら |
---|
【め・て・みみ】代理店都合の比較推奨販売はダメ
2024年12月24日
【ニュース】
金融審議会の損保作業部会審議が大詰めを迎えつつあり、年内にも報告書案がまとまる見込みだ。保険料不正請求問題やカルテル問題、情報漏洩問題等は、個々の保険会社レベルの事案というより、商慣習、業界慣行に基づく構造的な原因に由来するため、法制度の見直しの必要が問われているところだ。6月の有識者会議報告書で論点や課題は明確化され、それに基づき、損保協会レベルでの対応すべきことは、ガイドライン等ですでに対応策が策定されてきているが、法改正を伴う課題については9月から金融審議会損保作業部会での審議を進めてきている。 そのテーマは、大規模代理店に対する規制、保険仲立人の活用のための規制緩和、企業向け火災保険の赤字継続の改善策、公正な競争環境実現の観点から損保会社による便宜供与・乗合代理店の比較推奨のありかた、企業代理店の目指すべき姿などとなっていた。 このうち代理店現場実務に大きな影響を与えるテーマが、乗合代理店の比較推奨の適正化だ。本年11月から施行された金融サービス提供法では顧客の最善利益義務が明記され、個の居客の最善利益を具体化するためには、保険会社からの過度の便宜供与により顧客に行こうとは関係ない保険会社の商品が推奨される事例を防ぐ必要があるが、そのためにも現在の法律では認められている代理店判断による比較推奨につき、その廃止が提起されている。すなわち現行の保険業法施行規則(227条の2第3項4号「ハ方式」)が削除されることは必至で、これにより代理店独自の判断理由で保険商品の推奨販売ができなくなるからだ。 このため、乗合代理店において「比較推奨販売の適正化」の実効性を確保するために、顧客に対して商品を提案・推奨する基準や理由を社内規則等に定めることや比較推奨販売の実施状況の適切性を確認・検証し、必要に応じて、改善に取り組むなど、乗合代理店の規模や業務特性に応じた体制整備,PDCAの構築が求められることになる。 12月19日の城田損保協会長も記者会見の席上、自動車ディーラーが店舗ごとに顧客に推奨する保険商品を1社のみ指定する慣行の「テリトリー制」について業界として廃止していく方針であると明らかにした。新車購入を希望する客の紹介を求め、最も多い社の商品を推奨するなど、過剰な便宜供与の慣行が問題視顧客の最適な商品選定をゆがめかねないと指摘されていた。 損保作業部会が12月に報告書案を公表し、複数の損保を扱う代理店が特定の商品を選ぶ際、必要な対応として「顧客の意向に沿って絞り込む」といった内容が盛り込まれたのをうけ、テリトリー制について「顧客の意向を踏まえない、独自基準で商品選定する方法は認められない」と述ている。 (中) |