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【め・て・みみ】 hokan、保険業界特化型AIラボプロジェクト「HAIL」本格始動

2025年03月18日
【ニュース】

 第一弾は、CTI機能からなるhokan Connect

 クラウド型保険代理店CRM(顧客管理システム)の開発や各種代理店支援を展開するhokan*は、保険業界特化型AIラボプロジェクト「HAIL(ヘイル)」の第一弾として、生成AIを活用した電話対応業務のCTI(コンピュータテレフォニーインテグレーション)機能からなるhokan Connectを今春(4~5月)にリリースすることを明らかにした。https://www.corp.hkn.jp

 代理店業務には、電話対応業務が多いところから、CTI機能を開発し、コールセンター業務における、会話内容を録音・記録し、テキスト化、要約することが可能となる。また、今後、電話内容についてモニタリングし、顧客本位でないケースやクレームなどの分析もできるなど顧客サービス品質向上にも役立つような機能拡張も検討している。

 hokanの保険業界特化型AIラボプロジェクト「HAIL」は、hokan AIラボに由来し、ロゴには漢字の「人」をT(テクノロジー)が下支えするものとしており、「保険代理店・保険募集人という人の仕事が基本で、これを生成AI等のテクノロジーが下支えしていく」、ということを基本コンセプトとして開発していく(横塚出同社代表取締役共同社長)、としている。

 「HAIL」という保険業界特化型AI研究ラボプロジェクトの特徴は、大規模言語モデル(LLM)がインターネット上の学習済みの厖大な公開データに基づいているため、情報の古さやハルシネ―ションという事実とは異なる情報を生成してしまうリスクを避けるために、プロンプトエンジニアリング(望ましい回答を得るために指示・質問を設計・最適化する技術)や簡単なファインチューニング(特定のタスクに追加データ学習させる技術)、RAG(拡張検索生成、外部のデータベースや検索エンジンを活用して、最新の情報を取得するため、より信頼性の高い応答が可能)を取り入れている。

 「RAGの活用により、外部データとの連携を強化し、最新かつ正確な情報提供を目指している。プロンプトエンジニアリングやファインチューニングを組み合わせ、さらなる精度向上を進めていく。特に、保険業界における文書検索や要約の精度向上に注力し、業務効率の向上に貢献したい。」(同社技術部新井翔太氏)としている。

 保険業界への適用イメージとしては、1)顧客対応(複雑な保険商品に関する問い合わせに迅速かつ正確に対応)、2)内部業務効率化(大量の契約書や規程・規約の検索・要約を自動化等)が想定される。

 導入のプロセスのステップとしては、1)現状分析&目的設定、2)モデル選定、3)PoC(概念実証ー技術、アイデア、概念が実現可能かの検証)テスト、4)導入&運用。

 同社では、2022年秋のchatGPTの公開以降、保険業界への適用につき、その画期的な技術に着目する一方で、ハルシネ―ションリスクがあるところから、2023年から代理店のためのCRM等へどのように活用できるかなど社内で検討・企画・検証が必要だとし、2024年からはPoCを行ってきた。

 2025年に入り、正式に社内で生成AIのコンセプトを決め、組織としてAI研究ラボプロジェクト「HAIL」としてスタートを切った。

 hokanでは、「保険代理店CRMを中心に、代理店、募集人業務の顧客対応面の顧客対応品質の向上や業務プロセスの改善についてテクノロジーが人・代理店の活動を下支えするために保険会社と連携・協力しながら検討し、それをAIプロジェクトに落とし込み実現させていく」(横塚氏)としている。

 同社が今後進めていく保険業界特化型AIプロジェクト「HAIL」の概要としては、1)「業務効率特化型」、2)意思決定支援型、3)リスク管理特化型の3つを軸に構想を進めている。

 1)の業務効率特化型としては、

・募集プロセス自動化(顧客属性や過去の購買履歴から適切な保険商品を自動提案、オンラインチャット型AIで、24時間時間募集対応)

・顧客保全サポート(AIによる契約者フォローアップ、契約者のリスク状況変化をモニタリングし適切な自動提案を自動生成)

 2)意思決定支援型としては、

・セグメント分析戦略(従来のCRMを拡張し、過去の契約データ・市場動向を基に新商品の開発アイデアや改善点を自動提案)

・顧客満足度契約継続率予測(契約維持可能性を事前に予測し、代理店が優先的にアプローチすべき顧客を選別)

 3)リスク管理特化型としては、

・不正検知AI(保険金請求の不正や異常な契約行動を機械学習で早期検知し即座に対応フローまで提案)

・コンプライアンス遵守AI(募集人が適切な情報提供を行っているかリアルタイム監視しフィードバック)

 今回のhokanの保険業界特化型AI開発、導入はまだ緒に就いた段階でこれからの多面的な展開が待たれる。今後保険業界、とりわけ保険代理店業界に生成AIがどのように活用されていくのか、またそれにより代理店の業務プロセスや顧客サービスの在り方がどれほど高度化していくのか、また生産性の向上にどのような新たな局面が切り開かれるのか、注目される。

 (中)

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