ゲストさん   
 
【inswatch記事カテゴリ】
inswatch新着記事 一覧はこちら

め・て・みみ~これからどうなる代理店制損保の進路

2025年04月08日
【ニュース】

め・て・みみ~これからどうなる代理店制損保の進路

 損保業界が新たな局面を迎えつつある。昨年の有識者会議論議とその集約の報告書、その中で法改正を伴うテーマについてはさらに金融審・損保問題ワーキンググループで論議し報告書を経て、業法改正案にまで結晶化した。その方向性が目指すのは、顧客本位と適正競争という観点から業界体質と化した、代理店主導の従来の取引慣行が、顧客主導に根底的に改められるからだ。これまでは、トップラインシェアを掲げ、どれだけ契約を獲得するか、しかも商品・価格競争を回避し規模の大きな代理店獲得に偏重し、政策株の持ち合いや過度の便宜供与合戦などの歪んだ競争が繰り広げられたが、それにノーが突き付けられた格好だ。

 これからは軸足が代理店主導から顧客主導に大きく変わる。すでにそのための環境整備も始まっている。損保協会の第三評価制度の創設や出向制度に関するガイドライン策定をはじめ多様な施策に基づく取り組みが具体化され出している。また保険業法改正法案の春の通常国会上程も予定されており、この法案成立を待って、政省令、監督指針の改定によるルール整備も金融当局の事務年度実施されるところとなる。特定大規模乗合代理店の定義や比較推奨のハ方式の廃止、企業内代理店の構成員契約規制がどのようになるか等実務上に大きく影響し、関心の高い項目も含め、内容が明確になるのを待って、各保険会社も新たな方向を明示していくことになる。

 すでに損保各社においては新たな代理店手数料ポイント制度を提示しつつあり、「品質重視」に力点を置いたものが目立っているが、その業務品質項目に何を設定しているのか、にそれぞれの保険会社の経営スタンスが見て取れる。顧客の最善の利益という観点をどのように反映したものとなるのか。

代理店の自立度や業務能力の向上という点をどのように反映したものとなるのか。DXへの取り組みをどのように織り込むのか。またともすると顧客本位というより保険会社の都合(保険会社事務効率への寄与)などに偏りがちなのをどうチェックするのか。

 規模は大きくても、自立度が低い、実務能力に問題がある代理店でも、従来優遇されてきた、いわゆる手数料評価面のダブルスタンダードをどのように見直してゆくのか。顧客主導型に保険会社がスタンスを大きく変えることにより、今後の代理店施策がどのようになってゆくのか。

 今回の法改正では、商品・価格面での環境整備も予定されている。損保各社間で本来の適正競争に軌道を大きく変えていく際に、商品ラインごとに厳しい収益管理がグローバルな基準で求められていくことは必至だろう。その際に事業費(社費プラス代理店手数料から構成)の圧縮も課題となることは間違いなく、代理店手数料の在り方も改めて俎上にのぼっていくのだろう。

 代理店制をとる損保としては、顧客から信頼を得た代理店ネットワークという優位性を持っているが、時代対応を図り、どのように高品質化させ、DXを活用しつつ効果的な価値創造を図っていくか、また代理店と営業社員の二人三脚という従来モデルから顧客接点は代理店にゆだね、そのサポートに徹するモデルをどのように構想・構築できるか、保険のみならずリスクコンサルサービスを中心に新たなビジネスモデル創出に向け、どのような代理店施策展開をとるのか注目される。

 (中)

Copyright© 有限会社インスウオッチ,All rights reserved.