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め・て・みみ ~損保代理店手数料の基準変更でどうなる今後

2025年05月06日
【ニュース】

 一連の不祥事を受け昨年6月の有識者会議の報告書等で、現行の制度が大規模な代理店に業務品質を軽視する不適切なインセンティブを与えているおそれがあると指摘し、保険料の規模などに偏った支払い基準を見直し、顧客サービスの向上につながる「品質」を重視するよう求めたのだった。

 これを受けて損保協会では、第3者評価機関による代理店品質評価基準を作成し、これをもとに、大規模乗合代理店等への厳正な規制をしていくとともに、すべての代理店にこの業界共通基準に基づく自己点検を促し、これをスコア化・システム化して、今後の代理店評価・手数料ポイントに各損保とも品質重視の観点から独自に活用・反映させていく方針となっている。また、損保各社の取り組み状況をチェックする評議会も6月にはスタートさせる。

 損保各社では、独自に、不正の温床になってきた従来の契約規模や増収率偏重を改め、顧客からの評価の高さや自立した経営や実務能力等顧客本位の業務運営や品質重視を基調に、代理店手数料の支払い基準を抜本的に見直しつつある。すでに大手損保を中心にこうした品質項目の割合を40~60%とする新たな基準を提示し、今年度から適用し、それを次年度の支払いから反映させる方向だ。

 昨年の一連の保険金不正請求問題やカルテル問題の背景には、契約獲得のための歪んだ競争体質、業界慣行があったことから、こうした新契約獲得に偏重した代理店手数料評価基準の問題点が厳しく指摘され、こうした再発防止のための構造改革のためには、保険会社のガバナンス、顧客本位と適正競争環境整備のための代理店への過度の便宜供与(物品・サービスなどの購入による本業支援や営業支援のための出向)の廃止や代理店の品質重視の態勢整備が不可欠なところから基準を見直すことで代理店の業務内容の改善を推進していくこととなった。

 具体的には従来のメインの評価項目だった取扱い保険料(契約)額や増収率の比重を切下げ、これまで項目としてほとんど評価されてこなかった顧客対応品質基準の割合を大きくしているのが目立つ。中でも顧客からの満足度を図るアンケート結果を重視し、評価如何を段階的にポイント加算させる仕組みをとっているところが目立っているのが特徴だ。

 例えば三井住友海上では顧客品質(評価)の割合を60%まで引き上げているほか東京海上日動や損保ジャパンでも4割以上としており、今後とも自立した業務推進能力など顧客対応の経営パフォーマンスを重視する方向を探っていく方針だ。

 今後、損保各社は、顧客本位と適正競争環境整備とガバナンス強化が求められる。こうした中で、代理店政策も抜本的な変革が求められているわけで、大規模代理店のみならず中小の専業代理店にとっても独自に、顧客本位の運営の徹底、法令順守の重視や生産性向上のためのDXの活用による業務の高度化が求められるところとなるのは必至だ。

 (中)

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