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め・て・みみ~対面を超える顧客体験提供目指す-はなさく生命、CRM推進部を新設

2025年05月13日
【ニュース】

 はなさく生命(代表取締役社長山根 隆男)は、保険加入時のみならず、加入後においても人×デジタルで快適な顧客体験を提供することを目的に、2025年4月にCRM推進部を新設した。

 ダイレクト生保市場は、対面型より安く保険商品を提供するため、事業費を圧縮し業務効率化とコスト削減に重点を置いてきた。そのため、自分に合う保険の選択ができない、契約期間が長期にわたることから適切な助言が欲しいなど、顧客に不安が残り、顧客に寄り添うサポートができないジレンマがあった。

 そこで、同社は、ダイレクト生保事業の拡大には、ブランドや商品ラインだけでなく、コンサルとアフターフォローがカギを握るとの観点から、顧客に寄り添うコールセンターを軸に、生成AIなどのデジタルコミュニケーションを駆使し、長期的なサービスを提供すると共に、新契約を再生産していく新たなチャネルの立ち上げ、いわば「デジタル営業職員」を目指すことにした、という。

 柏原宏治前社長(本年4月から日本生命執行役員総合企画部長に)の企画で3年前から準備し、その肝いりでスタートしたCRM推進部の初代部長は大寄昭生氏が就いた。大寄氏は、2018年の同社設立から参画し、2019年の乗合代理店の立ち上げや代理店向け商品供給にかかわり、2020年のダイレクト生保の立ち上げとその運営にもかかわるなど、新チャネル創生に携わってきたが、今度はデジタルサポートチャネル創りを担当する。

 同社は、従来のコスト削減、効率重視のコールセンターではなく、顧客本位に徹したコールセンターの実現を目指し、2020年のダイレクト生保事業(電話やWebによる直販)進出時から、潜在層の開拓、契約の手伝い、アフターサポート、保険金お支払いまでワンストップで提供する事業モデルをシームレスで構築し、事業の拡大を図ってきた。その結果、現在では、郵送やWebによるダイレクト(直販)生保の中で、後発ながら、新契約件数はトップポジションに躍進。

 生保の保険流通では、営業職員の訪問販売モデル一辺倒から、近所の保険

ショップを営む乗合代理店の登場が顧客の保険購買行動に多様化をもたらし

たが、オンラインで自宅にいながら保険相談や加入後のアフターサービスが

できるデジタルサポートチャネルが創出されれば、新たな流通革命が起こる

のではないか。

 新部署では、コールセンターを通じた対面を超える感動体験による顧客拡大を目指す。今年10月には、本社のある六本木グランドタワーで正式に稼働開始する。

 同社では、コールセンターのオペレーターは「アドバイザー」の呼称で、全員、顧客応対面で厳正な選抜基準を経て採用され、教育チームによる商品やロープレ研修を受け、募集資格を取得した若手中心のスタッフ(現役声優や歌手、接客サービス業経験者など)が、顧客本位の自発的に課題解決を目指すスタンスで、お客様目線で、時間をかけた丁寧な応対サービスを構築してきた。

 コールセンターでは、アドバイザーが電話による資料請求やダイレクト加入相談を受け、対面相談を希望する場合は、当該地域の提携先の代理店紹介などを図っている。(紹介後は代理店が顧客に直接電話で確認)

 新たに、電話から同社の公式LINEでの対応も可能で、保険会社と契約者がLINEで1to1コミュニケーションを取りながら様々な顧客データを生成AI等で分析して、営業職員が契約者と行っているようなコミュニケーションを、より快適な環境で取っていく仕組みも導入している。

 この5年間のはなさく生命のダイレクト生保事業の成果は、以下の通り。

 第一に、資料送付後のフォローコールを工夫したことだ。資料到着時に顧客へアドバイザーが電話をかけ、ニーズをヒアリングし、プラン選択や申込の手順などをサポートするというものだが、フォロー内容の質の高さと、最初の顧客接点で“資料が届いたら電話をしてほしい”と顧客が希望したくなる会話の流れをつくることに重きを置いている、こうしたアドバイザーの会話の工夫で、成約率が15%から25%にアップ。アドバイザーによっては30~35%(1日5件、月100件、MDRTクラス)という驚異的な成果を出している。

 第二に、契約後の長期的なサポート強化(ライフタイムバリュー活動)として、対面型での訪問活動に相当する、「なじみ化コール」の導入。アドバイザーが、顧客に定期的に電話し、何気ない会話で絆を深めていく。長期的な契約の継続や家族構成の変化で追販につながるなどの成果がでている。

 第三に、「指名入電」の勧奨がある。顧客にとり自分の担当者が欲しいという観点から指名があったアドバイザーを評価する仕組みとし、1対1のつながりを強める取り組みだ。顧客との入り口を電話とスマホ、LINEなどに複線化し、気軽にコンタクトできるようにした。スマホ、パソコン画面での画面共有による説明のわかりやすさを追求、LINEでは、同社キャラクターの「しあわせの花を咲かせる」使命を持ったぞうの家族のスタンプなどを活用して楽しいコミュニケーションを心がけている。現在この1対1サービスの提供は、新規の資料請求者を対象としているが今後、順次Web契約の既契約者にも担当者をつけるようサービスメニューを充実させていく、とのことだ。

 第四に、これまで変額などの資産形成型商品は対面販売だったが、オンラインでアバダー相談を導入。新IT技術を活用し、電話受信から、スマホやパソコン画面に誘導し、顧客に親しみの持てる、雪だるまや猫などといったキャラクターのアバダーを用い、アドバイザーが成り切り演じる、アトラクションと専門性を兼ね備え、仮想空間での擬似対面の相談方式も変額保険で試行している。4月に開始したばかりだが、すでに数十件の契約が出ており、利用者からの評判も良いという。

 このような共創の取り組みにより、超長期間、顧客に徹底的に寄り添ったサポートを属人要素を限りなく排除しながらローコストで実現できる、としている。

 同社では、すでに一部のダイレクト顧客に対してこのようなPoC(概念実証)を行っているが、「期待以上の可能性を感じている」(大寄部長)としている。

 現在は、ダイレクト生保事業に限定してのデジタルサポートチャネルの構築だが、将来的には、生保の中核チャネルの営業職員体制を補完する新しい顧客サポート体制になるのでは、と考えている、としている。

 (中)

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