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森を見る視点(28)生命保険の加入チャネル動向

2025年07月01日
【プロの視点】

*この記事は、inswatch Professional Report Vol.255(2025年2月末発行)にて詳細をまとめた「生命保険加入チャネル動向・2025年版」のレポートを、抜粋した内容でお届けします。


 公益財団法人生命保険文化センターが3年毎に行っている「生命保険に関する全国実態調査」の2024(令和6)年版が昨年末に公表となった。

https://www.jili.or.jp/research/report/zenkokujittai.html

 今回は、その中で「直近の加入契約の加入チャネル」について考察する。なお、生命保険の「加入チャネル」とは、消費者が保険加入する時の経路。「営業職員」や「保険代理店」「銀行」「インターネット」などのことである。

◇データはあくまで一例として捉える

 なお、同センターで行っている別の調査「生活保障に関する調査」でも「直近加入契約の加入チャネル」のデータを取っており、こちらも3年ごと、直近では2022(令和4)年度に調査をしている。

 「生命保険に関する全国実態調査」と「生活保障に関する調査」の、両方の加入チャネルデータを見ると数値が微妙に異なっていて、例えば「保険会社の営業職員」率は、全国実態調査では56.7%であるが、生活保障に関する調査では5割を切る。したがって、データ数値はあくまで一例として捉えることも必要である。

◇加入チャネルの比率と順位、および前年との比較

 まずは、令和6年の数値、そして前年との推移をご覧いただきたい。また以下は、比率の多い順に並んでおり、第一位は前年と同様に「生命保険会社の営業職員」である。

  加入経路 令和6年 令和5年 対前年

1 生命保険会社の営業職員 56.7% 55.9%

2 保険代理店の窓口や営業職員 15.7% 15.3%

3 インターネットを通じて 5.9% 4.0%

4 銀行を通して 4.4% 6.0%

5 勤め先や労働組合等を通じて 3.4% 3.6%

6 生命保険会社の窓口 3.1% 3.2%

7 テレビ・新聞・雑誌などを通じて 1.9% 2.5%

8 郵便局の窓口や営業職員 1.5% 2.6%

0 証券会社の窓口や営業職員 0.3% 0.2%

   その他 6.4% 6.1% -

   不 明 0.7% 0.6% -

◇全体の総評

 全体的に大きな数値の変化が少なく、ここ6~9年の間で一時的に増えてもまた元に戻る、あるいは殆ど横ばいの状況にある。そのため、各チャネルともに飽和状態にあるとも言えそうである。

 郵便局チャネルは不祥事の影響でシェアを下げたが、次回の3年後にまた元に戻す、あるいは増えていく可能性を秘めている。

 今後、変化の可能性があるかもしれないのは、保険代理店チャネルとインターネットチャネルではないかと筆者は見ている。

 その理由は、他のチャネルをメインとしてきた保険会社が、この2つのチャネルを強化しているからである。

 例えば営業職員チャネルがメインの大手保険会社において、ネットチャネル商品ラインナップを増やしたり、DXを活かした商品開発などが進んでいるからである(太陽生命のスマ保険、住友生命のChakinなど)。またインターネット完結と保険代理店からの両チャネルで加入できる商品など、取り扱い自体が増えている。

 ただし、インターネットチャネルから撤退した保険会社もある(アクサ生命のダイレクト部門(旧アクサダイレクト生命)など。

 保険代理店チャネルは、中小規模の保険代理店は減少傾向にあるが大型保険代理店は発展しており、M&A、店舗数拡大、異業種からの参入のほか、損保系で企業代理店のカルテル問題があったことで、生損共に専門性の高いプロ代理店にとっては拡大や再編が進む可能性がある。

 次回は、生命保険会社の営業職員・保険代理店・インターネット・銀行の4チャネルについて掘り下げる。

(保険ジャーナリスト・(有)インスウオッチ発行人)

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