| inswatch新着記事 | 一覧はこちら |
|---|
GuardTech~協業・共創の現場から(46) 「リスクファイナンス学」は生まれるか ――産学連携で描く保険学の次のかたち(前編)
|
2026年02月17日
【DX】
GuardTechコミュニティとインスウオッチが共催する年次カンファレンス「ホケンノミライ2026」が、3月6日(金)午前9時より日本橋茅場町のFinGATE KAYABAで開催されます。今回も、保険の未来を多角的に議論する12のセッションを予定しています。現在、特設サイト https://hokennomirai.studio.site/ にて参加チケットを販売中です。アーカイブ視聴が可能なチケットも用意しており、当日参加が難しい方も後日セッションをご覧いただけます。ぜひご参加ください。 本稿では、「ホケンノミライ2026」で実施予定のセッションの中から、「産学連携で創る『リスクファイナンス学』のミライ」をご紹介します。 企業を取り巻くリスク環境は、この十数年で大きく様変わりしました。自然災害の激甚化、サイバーリスクの常態化、地政学的分断、気候変動対応、サプライチェーンの不確実性など、経営判断や財務戦略に直結するリスクは急速に複雑化しています。企業は利潤を追求する一方で、こうした不確実性への対応を不可避の課題として抱えています。とりわけ事業規模や潜在リスクの大きい企業では、保険の活用にとどまらず、デリバティブなどの金融手法、資本構成や資金調達方針といった資本政策、さらには内部留保や引当金を組み合わせながら、経営レベルで意思決定を行う「リスクファイナンス」の重要性が高まっています。 しかし国内において、リスクオフィサーや(保険)リスクマネージャーといった専門人材を配置する企業はまだ限られています。その一方で、この分野の研究・実務の橋渡しを目指す動きも徐々に広がりつつあります。慶應義塾大学商学部の柳瀬典由教授や、三菱重工業のリスクマネージャー増山啓氏らを中心に、企業リスクマネジメントやリスクファイナンスの実践知を共有する取り組みが進められてきました。こうした流れを背景に、金融庁の「損害保険業の構造的課題と競争のあり方に関する有識者会議」が2024年6月に公表した報告書では、「企業のリスクマネジメント意識の向上」の必要性が明記され、企業自身の高度化努力とともに、保険会社、代理店、ブローカーによる支援の重要性が指摘されています。 学術的な観点から見ると、「リスクファイナンス学」は「保険論」の応用領域に位置づけられます。伝統的な保険論が、リスク移転メカニズムなど保険制度を中心に分析する「手段論」であったのに対し、リスクファイナンスは保険を含む複数の手段を比較・統合し、企業側の意思決定や資本政策、企業価値の最大化を扱う「経営・財務戦略論」といえます。そこでは金融、経営、経済、数理・統計といった複数分野を横断する学際的な視点が求められます。欧米、特に米国では「Risk Management and Insurance(RMI)」として大学に専門プログラムが設置され、研究者と実務家が循環する教育・人材育成のエコシステムが形成されています。 セッション「産学連携で創る『リスクファイナンス学』のミライ」では、東京経済大学商学部の石田成則教授、損害保険事業総合研究所の金井田智久氏(日本保険学会事務局長)、三菱重工業の増山啓氏を迎え、アカデミアと企業実務それぞれの視点から、リスクファイナンス学の可能性と今後の具体的な取り組みについて議論します。産学連携を通じて新たな知の体系をどのように形づくれるのか――その出発点となるセッションです。 次回「後編」では、当日の議論の模様をレポートする予定です。 (GuardTech検討コミュニティ代表)https://note.com/guardtech2024 |
