inswatch新着記事 | 一覧はこちら |
---|
森を見る視点(27)DEIとアンコンシャス・バイアス~Japan Fintech Week 2025より~
2025年03月11日
3月3日(月)~7日(金)、Japan Fintech Week(以下JFW)との名称で、金融や保険にまつわるテクノロジーに関連した各社各団体のイベントが集中して開催され非常に盛り上がった(主催:金融庁および日経新聞など)。 保険代理店のお仲間の中にも、とくにテクノロジーを活かしてビジネス展開をする経営者達が登壇するセッションもあり、現場の人達にも関連あるイベントとなっている。毎年開催されるのでまた来年のこの時期に是非興味を持って頂ければと思う。 私はその中で、火曜日の第一生命ホールディングス開催「ほけんの未来:テクノロジーと女性の力」と、最終日金曜日には「ホケンノミライ2025(主催:GuardTech検討コミュニティ・有限会社インスウオッチ)」に、主催および登壇者のひとりとして参加した。 第一生命のイベントでは海外のテクノロジー系スタートアップの女性経営者達による英語でのセッションがあり私は同時通訳で聞いたが、理系女子たちの海外での活躍ぶりに感心しつつ、ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン(DEI)が遅れる日本社会の中でこれを浸透させるには非常にハードルが高い現実を痛感した。一方で、次のパートでは、第一生命の2種のアバターを開発した若き女性責任者たちが登壇し、同社がDXと共に、DEIに力を入れている様子を知り、先進的な企業姿勢に感銘を受けた。 金曜のイベント「ホケンノミライ2025」は、損保分野で長年テクノロジーの分野に寄与してきた温水淳一氏と、住友生命で健康増進型「Vitality」の開発運営を手掛けた岸 知良氏の二人(いずれもinswatch筆者)が中心となり、保険会社の壁を超えた越境志向による仲間たちで保険業界の発展を願う、有志による会が運営をしている。 弊社inswatchも主催に社名を載せているが、このイベントは仲間たちによる完全ボランティア運営であり、私自身もそうした人達の心意気に賛同して収納系業務をボランティア協力している。 また私が登壇したテーマは「DEI」。これについて少し述べさせて頂くと、人材の発掘や育成と継続雇用は重要なテーマであり、男女問わず能力発揮ができる職場環境や新たな組織運営が、今度不可欠要素となる。 現在、夫婦の約7割が共働きであり、若い世代を中心に夫婦共に正社員という形態が主流となっていく。夫が高収入で妻がパートという昭和平成時代の夫婦の総収入よりも、夫婦共に正社員で同じくらいの平均的所得である方が、世帯の所得合計は圧倒的に多くなり、それが今後の夫婦の一般的なスタイルとなる。そのため夫が妻と同等に家事や育児を担うことが今後必須となる。それが可能な職場環境が男性・女性共に必要であり、それができないとなれば、そう出来る職場に人は移動し、出来ない会社には人がいなくなる。 この波は、大手企業は既に着手済みで、今後は中小企業へ、そして地方へと一気に広がることとなる。 今回のイベントには保険会社やテクノロジー系のスタートアップ企業など、先進的な企業の人達が多く、そのためテーマはさらに突っ込んだ「アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)」を中心に発表を行った。無意識の偏見は人間であれば誰しも持っている本能であり、物事を考える際に深く推敲せずショートカットして物事を決める、ある意味で効率良い思考ともいえるが、そこに問題が潜んでいる。 上司をみて(大変そうだから自分は出世しなくてもいい)と考えたり、お子さんがいる女性に対して(大変な仕事を任せたら可哀そう)と思ったりすることも、アンコンシャスバイアスがなせる弊害である。その前に相手の話を聞くことが必要であり、そのための意思疎通やコミュニケーションの場を組織運営の中に取り入れることが、解決のカギとなるだろう。 組織運営を今後どのように変えていくべきかは「DEI・組織運営」などのキーワードで検索すると、その手のセミナー等が多数開催されているので是非アンテナを立ててほしい。 (保険ジャーナリスト・(有)インスウオッチ発行人) |