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め・て・みみ ~SOMPOとRIZAPのタイアップの狙い
2024年07月09日
【ニュース】
保険会社の非保険領域への積極展開が最近目立つが、健康領域で積極展開する2グループの新たなタイアップが話題を呼んでいる。 SOMPOホールディングスとRIZAPグループは、両社が掲げる「誰もがウェルビーイングを実感できる社会の実現」に向け、6月7日に資本業務提携契約を締結するとともに、7月1日に開催された共同記者会見では、両社が目指す方向性や具体的な提携内容が示された。 今回の資本業務提携は、保険・介護事業等を通じて培った強固な顧客基盤・販売網を有し、安心・安全・健康に資する保険商品やサービスをグループで提供するSOMPOホールディングスと、フィットネスや医療連携サービスを通じて健康を増進させるソリューションに強みを有するRIZAPグループが業務提携し、双方の顧客が他方のサービスにアクセスしやすい環境を構築するとともに、長期的には双方が有するデータの利活用等を通じ、双方の強みを活かした新商品及び新サービスを提供することで、健康寿命を延伸し、年を重ねることをポジティブにとらえられる社会の実現を目指すとともに、業務を拡大することを目的とするものだ。 今回の資本業務提携の内容としては、RIZAPグループは、第三者割当の方法により、SOMPOホールディングスに対してRIZAPグループの普通株式29,069、767株(発行済株式数の4.87%)を割り当てる。さらに、RIZAPグループ子会社RIZAP(株)も第三者割当でSOMPOホールディングスに対して普通株式を割り当て、200億円の払い込みを受ける。これにより、SOMPOホールディングスのRIZAPに対する出資比率は 23%となる。 業務提携の内容としては、SOMPOホールディングス及びRIZAPグループは、本資本業務提携の目的を達成するために、以下のような業務提携を行う。 1)SOMPOグループの国内の顧客基盤(約2,500万人)に向けたchocoZAPの利用促進等、RIZAPグループ会社の商品・サービスの浸透に向けた各種施策の実施 2)chocoZAP利用者へのSOMPOグループ会社が提供するサービスの紹介等を含む、RIZAPグループの顧客層(約120万人のchocoZAP会員)へのSOMPOグループ会社の商品・サービスの浸透に向けた各種施策の実施 3)法令・ガイドライン等の遵守とお客さま同意を前提に、SOMPOグループの損保、生保、介護事業の顧客及びデータ基盤とRIZAPグループが持つライフログデータや指導ノウハウなどを組み合わせることによる、顧客ニーズや健康状態に即した新サービス・新商品の研究開発・提供4)SOMPOが展開している介護事業やヘルスケア分野等における RIZAPの事業活用も含めた協業の促進 今後については、SOMPOホールディングスと RIZAPグループは、本資本業務提携を通して、すべての人が安心して、心身ともに健康な生活が送れる社会の実現を目指し、多方面での協業を推進して行く、としている。また、両社が有するデータやアセット、ノウハウを活用し、顧客それぞれの環境やライフステージに応じたサービス・商品の研究開発、提供を行うことで、生涯に渡って顧客に寄り添い、「誰もがウェルビーイングを実感できる社会の実現」を目指していく、としている。 SOMPOホールディングスは、新中期経営計画において、国内生保・介護・コーポレートウェルネス事業を横断する成長エンジンとしてウェルビーイング事業に注力するとしている。というのも、高齢化社会の不安は健康・老後資金・介護で、かつては家族がその不安を埋めていたが、現代はそれが難しい社会になりつつあるため、健康寿命を伸ばすことを目的としたウェルビーイング事業に注力していくスタンスをとる。 予防医療のソリューションには動的データが必要不可欠な一方、厖大な顧客基盤を有するものの顧客との接触機会に課題があり、動的データが不足しているため、単独ではその実現は難しいところから、パートナーに選ばれたのが、全国約1500店舗という規模にまでchocoZAPの出店を拡大しているRIZAPグループだった。 一方、RIZAPグループもSOMPO顧客や法人顧客基盤の連携による新規会員獲得、SOMPO系列の介護施設(400以上)や保険代理店との連携による新規出店加速が期待され、出資によるキャッシュフロー改善で戦略の幅が広がるメリットも大きい。 さらに、chocoZAPで収集している運動や健康に関するライフログに、SOMPOの保険・健康診断・介護などのデータを加えることで、共同研究や新しい健康指標、商品の開発などを加速させていくことが可能となるなどの長期戦略的なメリットがある。 (中) |